営業戦略に展示会を組み込むコツ

展示会出展を検討しておられるあなたに、突然ですが、質問です。

 

「あなたの会社が展示会に出る目的は何ですか?」

 

あなたは、この質問に即答できるでしょうか?

そして、さらに、

「その目的を達成するために、目標を設定していますか?」

と問われたら答えられるでしょうか?

 

営業戦略の中に展示会を組み込む

残念ながら、ただ漫然と展示会に出展しても成果は出ません。

あなたの会社の営業戦略の中に展示会をどのように位置づけるかがポイントなのです。

 

展示会を活用して売上アップを実現するためには、

 ①展示会出展の目的と目標を明確にすること

 ②その目的・目標をチーム全員で共有すること

がとても重要です。

目的・目標を具体的に設定するコツ

そして目的・目標は、できるだけ具体的な方がいいです。

『展示会に出て売上を上げるぞ!とにかく売上を上げるのだ!』

というのでは、気合いは入るかもしれませんが、抽象的すぎます。

抽象的な目的から具体的な行動は生まれません。

具体的に行動しなければ成果はでないのです。

具体的にするというのは、数値化するということです。

 

成果の出る目的・目標設定の具体例

たとえば、

『出展コストの2倍の売上を上げること』

というように具体的に決めましょう。

そして、この目的を達成するための目標を設定しましょう。

目標も具体的に数値に落とし込みます。

たとえば、

自社の商品の平均単価が30万円で、出展コストが180万円だったとすると、

目的:『出展コストの2倍の売上を上げること』

を達成するためには、360万円の売上が必要になりますね。

ここから自社の受注率や案件化率、アポ率を加味して逆算していきます。

受注目標:20件(12件×30万円=360万円)

案件化目標:50件(受注率40%)

アポ目標:80件(案件化率2.5%)

名刺獲得目標:320枚(アポ率25%)

 

というように最終的に得たい成果から逆算していきましょう。

 

このように

①目的・目標を具体的な数字に落とし込むこと

②数値化した目的・目標をチーム全員で共有すること

が、展示会で成果を上げる前提になります。

 

盲点!展示会で成果を出すための意外なポイント

しかし・・・このことは、展示会で成果を出すための必要条件ではありますが、十分条件ではありません。

 

実は、展示会に出展している企業の90パーセントが見落としているとても重要な注意点があります。

「展示会」と「やらされ感」は水と油

 

それは、

 

『展示会では、目標値がイヤイヤ押し付けられたノルマ化している場合、成果が出ない』

 

ということです。

 

「イヤイヤ取り組むような、やらされ仕事をしたら成果が出なくなるのは当たり前じゃないか」

あなたは、そう感じたかもしれません。

しかし、ここで言いたいのは、そういうことではないのです。

展示会では、「普段の業務をやらされ仕事で取り組み成果が出ない」という状態以上に、

やらされ仕事がもたらす悪影響が大きいのです。

普段の業務や営業活動なら、押し付けられたノルマをこなすような仕事の仕方でも、

一定の成果が出るかもしれません。

でも、展示会はイベントです。

来場者はお祭り気分で非日常的な空間を味わいに来ているのです。

そんな中、あなたの会社の社員さんが、

定められた目標だから仕方なくノルマ達成のために、

名刺獲得にイヤイヤ取り組んでいるとしたらどうでしょうか?

その空気感は必ず来場者に伝わってしまいます。

 

『やる気のないスタッフによるやる気のない対応』

 

あなたも展示会場で見かけたことがあるのではないでしょうか?

そうしたやる気のない態度が見込客である来場者に及ぼす悪影響は計り知れません。

出ているのに、来場者から嫌悪感を持たれてしまうことになっては悲しすぎますね。

なんとしても、目標値がイヤイヤこなすだけのノルマになるのを防いで、

イキイキ溌剌と活気がある状態をつくる必要があるのです。

展示会をゲーム化する

では、どうすればよいのでしょうか?

その答えは、ずばり、『ゲーム化』することです。

 

展示会はイベントです。お祭りなのです。

イベントであり、お祭りなのだから、出展している側も楽しんだ方がいいに決まっていますね。

それならば、盛り上がりながら楽しく取り組んで成果を出すために、

一連の展示会での活動をゲーム化しちゃいましょう。

どうせ、やらなければいけないことなら『楽しく』やった方が、

気分もいいし、成果も出やくなりますよね。

ブースで対応するメンバー全員が、

ゲームに取り組むように盛り上がりながら、

夢中になって目標値を次々とクリアしていくような状態をつくりましょう。

そうすれば、あなたの会社の展示会出展は必ず成果が出ます。

 

展示会では4つの条件を整える

 

では、どのようにすれば、

展示会での取り組みをゲーム化することができるのでしょうか?

あなたも少し考えてみてください。

取り組みをゲーム化するにはコツがあります。

わたしは、展示会営業コンサルタントとして

ゲームの力を展示会に取り入れるための研究と実践の過程で、

ゲームづくりのノウハウには次の4つの条件が隠されていることを発見しました。

その4つの条件のことを『ゲーミフィケーション成立の4条件』と名付けています。

  1. 何をすべきかが明確になっている
    →目標・課題・アクションの明確化
    「何をしたらいいかわかりません、というのではゲームを始めることはできません。   ゲームの特徴として、やるべきことが明確になっている、という点は決して外すことができません。
  2. 自分の現在地が可視化されている
    →自分が今どこにいるのか? ランキング・ポイント・レベルの見える化
    ゲームでは、得点、レベル、経験値、体力バロメーターが常に「見える化」されています。
  3. アクションに対する即時フィードバック(称賛)がある
    →即時フィードバック(他者からの承認・称賛を含む)による自己効力感
    自己効力感とはやればできるという自信です。ゲームでは何かをやれば必ず反応が返ってきます。
    これを即時フィードバックと言います。この即時フィードバックを得るとやればできるという自信が高まります。
  4. ゴールしたり達成すると、報酬(金銭だけでなく心的報酬でも良い)がもらえる
    →達成感および達成に対する報酬の魅力
    報酬は必ずしも、お金やモノでなくても構いません。 
    「よくやったね!」「すごいぞ!」と褒められるような心的報酬も立派な報酬になります。

 

スコアもなくハイタッチもしないボウリングなんて

ゲーミフィケーション成立の4条件が揃うと

どんな取り組みでもゲーム化することができます。

逆に、楽しいはずのゲームも、

この4条件が欠けてしまうとゲームとして成立しなくなってしまうのです。

 

スコアをつけないボウリングなんて・・・

このことをボウリングやゴルフに置き換えて考えてみましょう。

ボウリングの場合、何をすべきかは明確になっています。

「あそこにある10本のピンを倒せ」
「より多く倒せた人が勝ちだ」
「ボールを転がして倒すのだ」

という説明があればスタートできます。

やるべきことはシンプルです。

そして、スコアを付けることで、

自分がどこにいるかが可視化されます。

このスコアがあるから

「お!あいつとあと3ピン差だ」
「次、ストライクを取ったら逆転できるぞ」

と考えることができます。

もしスコアがなかったら面白くも何ともありません。

スコアもなく、ただ重たいボールを何度も投げてピンを倒していて

楽しいでしょうか? ゲームどころか苦行ですね。

また、単にスコアをつけるだけでなく、

途中の他の人のスコアも見えているからこそ

「あと○ピンであいつを逆転できる!」

と考えることができますから盛り上がるわけです。

アクションに対する即時フィードバックもあります。

ボールを投げて、ストライクを取ると「イェーイ!」と皆とハイタッチをします。

皆からは「ナイス ストライク!」などと言われます。

あなたも経験があると思います。

ストライクを取ったら、やはり「ナイス!」とか「イェーイ!」と言ってほしいですね。

ところが、せっかくストライクを取っても、

「やったぜ!」と思って得意気にパッと振り返ったら、誰も見ていない、

見ていても「シラー」っとしているとどうでしょうか?

即時フィードバックがないとガッカリです。

かなり落ち込みますね。 こんなことではゲームとして盛り上がりません。

そしてゴールするか達成すると報酬がもらえます。

「優勝おめでとう」と言われるだけでも嬉しいですし、

社内行事でボウリングをやる場合などは賞品や表彰式があるケースも多いでしょう。

もしボウリングに4条件がなかったらどうでしょうか?

『ただピンがあって、とにかく倒す、ただそれだけ。』

こんなボウリングだと、

何が嬉しくてあんな重いボールを10回も投げないといけないか分かりません。

ただ、手が疲れるだけじゃないか、と言うことになってしまいます。

4条件が揃っているからボウリングはおもしろいのです。

皆で盛り上がって、

「おい。もう1ゲームやろうぜ」ということになるのは4条件が揃っているからです。

このことは、やっていること自体が楽しいからゲームなのではなくて、

4条件が揃っているからゲームになって楽しくなるのだ、ということを意味しています。

 

打数や「ナイショー!」もないゴルフになっていませんか?

次にゴルフを例に考えてみましょう。

まず、ゴルフでは、何をすべきかが明確です。

「旗が立っているところに穴が開いているから、その穴にこのボールを入れなさい。
 なるべく少ない打数でね」

とっても明確ですね。

次に、「見える化」です。

ゴルフには「スコア」があります。

スコアは、ランキングの「見える化」そのものですね。

公式のトーナメントなどではもちろん、

プライベートでコースを回る時にも、

他のメンバーのスコアも書き込みながらホールを回っていきます。

常に、誰が今何打しているのかが見えている状態です。

これが、もしも、スコアもつけずにボールを打つだけだったどうでしょうか?

さらにボールをクラブで打つと、

周囲にいる人が「ナイスショット」と声をかけます。

即時フィードバックですね。

もしも、いいショットを打ったのに、

誰も何も言わず知らん顔されていたらどうでしょうか?

やっぱりそれでは盛り上がらないから、

お互いに「ナイスアプローチ」とか「ナイスパー」とか言いながら

即時フィードバックを続けていきますね。

ホールを回って、一番スコアが良かったらどうでしょう。

「すごいね」「君が一番だ」

と褒められ、コンペなどでは賞品ももらえます。

あなたは、ゴルフをやりますか?好きでしょうか?

 楽しいですか?ゴルフに4条件がそろっていることはわかってくれたと思います。

では、ゴルフでやっている行為自体はどうでしょうか?

何のために、朝早く起きて、山の中に行き、歩き回らなければならないのでしょうか?

なぜ、わざわざ旗を立てておかないとわからないくらい

遠くのあんなに小さな穴にボールを入れなければならないのでしょうか?

ボールももっと大きくしたら打ちやすいでしょうね。

クラブも何種類もあると持ち運ぶのに重たいから、一種類でいいのではないでしょうか?

こんなことを考えていくと、ゴルフという行為自体が、

そんなに面白おかしく楽しいものではないことに気づきます。

こんなことを18ホールもやったらイヤになりますね。

でも、ゴルフを楽しむ人がいます。

実際やっておもしろいと感じる人がいます。

それは、ゴルフがゲーミフィケーション成立の4条件をそろえているからなのです。

ゲーム仕立てになっているからです。

このように、やっている行為自体が面白いものではなくても、

この4条件によってゲームにすることができるのです。

わたしは、あらゆる取り組みをゲーム化すべきだと考えていますが、

展示会は、特にゲーム化するのに適しています。

なぜなら、展示会はイベントだからです。

イベントとゲームはとても相性がいいのです。

あなたの会社も、成果を上げるために、展示会での取り組みを、

この4条件を整えてゲーム化し、ゲームの力を活用していきましょう。

 

実際に展示会をゲーム化してみる

 

では、どのようにすれば、展示会での取り組みをゲーム化できるのでしょうか?

やり方はカンタンです。各段階の目標値をゲーム化すればよいのです。

まず、展示会を起点として受注に至るまでのプロセスを考えてみましょう。

 

  • 名刺獲得
  • 資料配布
  • アポイント
  • 案件化
  • 受注

 

典型的なプロセスはこのようになるはずです。

 

次に、これらをゲームにしてしまうのです。

たとえば、

  • 名刺コレクションゲーム
  • 小冊子配布コンテスト
  • アポイント獲得グランプリ
  • 案件化レース
  • 受注ダービー

などのようになるでしょうね。

ゲーム化すると知恵が生まれる!

ゲーム化すると、だれがどのくらい得点を上げているかが一目瞭然になります。

そうするとあなたの会社におもしろいことが起こりはじめます。

ブースで来場者の足を止めるコツ、
名刺をもらう秘訣、
フォロー面談のアポで断られないためのトークの工夫

などの成果を上げるための知恵が、 自然と共有されるようになるのです。

あたかも、自分が見つけた裏技をともだちに自慢げに教えてあげるかのような光景が

あなたの会社のそこかしこで見られるようになります。

これを、わたしはゲームのソーシャル共有効果と呼んでいます。

人手が少なく、知名度が低い中小企業が展示会で成果を上げるためには、

ゲームの力を使うことは必須です。

あなたの会社も展示会で大きな成果を上げるために、

準備段階からフォローまでの展示会の一連の活動を

ゲーム化するという発想で取り組みましょう。

 

 

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